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大菩薩峠(喫茶店)

(だいぼさつとうげ)

徳島県阿南市福井町に位置する「大菩薩峠」は、レンガ造りのセルフビルド建築による喫茶店です。喫茶店としての魅力だけでなく、建築そのものが話題を呼び、多くの観光客や建築愛好家に支持されています。

喫茶店の概要

「大菩薩峠」は、島利喜太(しま りきた)という人物が自らの手で設計・建築した喫茶店です。彼は若い頃に家業の農業を手伝いながら、数年間にわたる日本一周の旅を経験しました。その旅の中で訪れた山梨県の大菩薩峠の雄大な景色に感銘を受け、故郷に戻った後、自らも壮大な建築を作り上げたいという夢を持ちました。

また、もともとコーヒーが好きだった島は、「大菩薩峠」や「万里の長城」という壮大な名称を冠した喫茶店を故郷の徳島に建てたいと考え、その思いが具現化したのがこの喫茶店です。

セルフビルドの挑戦

レンガ造りの建築

島利喜太が目指したのは、完全セルフビルドによるレンガ造りの喫茶店でした。1966年に建築を開始しましたが、近隣のレンガ工場では個人向けの供給が行われていなかったため、島は自ら裏山に窯を作り、レンガを焼き始めました。約10万個ものレンガを自らの手で焼き、積み上げ、喫茶店の形に仕上げていったのです。

建築は5年の歳月を経て、1971年10月10日にようやく「大菩薩峠」として開業しました。しかし、それで完成したわけではなく、現在もなお増改築が進められており、建物は未完成状態のまま営業が続けられています。

店舗の構造

「大菩薩峠」の建物は、主にレンガ造りですが、内部には木材も多用されています。客が利用するテーブルや椅子も、島が木の塊から削り出し、組み合わせて作り上げたものです。店の入り口の扉には無垢の一枚岩が使用されており、これも島が当初から頭の中で構想していたものです。

また、店の外観には「大菩薩峠」と書かれた金属プレートが取り付けられており、このプレートも手作業で作られたものです。

喫茶店の特徴

階段とスロープ

喫茶店の入口は建物の2階にあり、レンガで作られた階段を上って入店するか、自動車用のスロープを使って上がることも可能です。駐車スペースは2階の中庭部分にあり、そこも一面がレンガ敷きになっています。

石の庭園

屋上部分は裏山と接続しており、ここには「石の庭園」が建設中です。訪れる人々は、喫茶店としての利用だけでなく、この石の庭園を含めた独特の景観を楽しむことができます。

島利喜太の思いと歴史

島利喜太の人生と、この喫茶店の建設にかける思いは非常に強いものでした。20代の頃に日本一周を果たし、その中で感じた自然の雄大さを自身の手で再現したいという情熱がこの喫茶店の根底にあります。

彼は一つの作品として喫茶店を完成させるだけでなく、今なお手を加え続け、さらなる完成を目指しています。セルフビルドの建築物としての独自性と、島自身が作り出す温かみのある内装や家具が、この喫茶店を他に類を見ない存在にしています。

観光名所としての「大菩薩峠」

ユニークな建築と観光客

徳島県阿南市にある「大菩薩峠」は、喫茶店でありながら、島のセルフビルドによる独自の建築が大きな注目を集めています。建物自体が観光名所の一つとなり、多くの観光客がその特異な姿を一目見ようと訪れています。

建物のレンガ造りや、手作りの家具など、細部にまで島のこだわりが感じられ、その歴史的背景や建築過程に興味を持つ人々からも支持されています。また、喫茶店として提供されるコーヒーや軽食も評価が高く、訪れる人々はリラックスした時間を過ごすことができます。

観光客へのアクセス

「大菩薩峠」は、徳島市内から車で約1時間の距離にあり、自然豊かな環境の中に位置しています。周囲には観光スポットや自然散策コースも多く、観光と合わせて訪れるには絶好の場所です。また、徳島県外からも訪れる観光客が多く、休日や連休には多くの人々で賑わいます。

まとめ

徳島県阿南市の「大菩薩峠」は、レンガ造りのセルフビルド建築としても注目される喫茶店です。島利喜太が自らの手で築き上げたこの建物は、単なる喫茶店を超えたアートとも言える存在であり、その壮大な夢と情熱が今も形となって現れています。

観光地としての魅力も兼ね備えており、自然の中でリラックスしたひと時を過ごすことができる場所として、多くの人々から愛され続けています。今後も増改築が進められ、新たな姿を見せる「大菩薩峠」に期待が寄せられています。

Information

名称
大菩薩峠(喫茶店)
(だいぼさつとうげ)

阿南・日和佐(美波)

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