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伊島(徳島県)

(いしま)

伊島は、徳島県阿南市伊島町に位置する美しい島です。紀伊水道に浮かび、四国最東端の蒲生田岬から東方約6kmにあります。島の全域が室戸阿南海岸国定公園に指定されており、豊かな自然環境と歴史的な名所が点在しています。伊島は長い歴史を持ち、阿波水軍の拠点としても重要な役割を果たしてきました。観光スポットや歴史的施設も多く、訪れる人々に穏やかな時間を提供します。

地理と自然環境

位置と地質

伊島は、四国の最東端に位置する蒲生田岬から東へ6kmの紀伊水道に浮かぶ島です。島の面積の約75%は山林が広がり、自然豊かな環境が特徴です。島の西側には、無人島である前島や棚子島が存在し、それらを望む位置に伊島の集落が広がっています。島の地質は主に砂岩で構成されており、険しい地形が魅力的です。

歴史

移住と発展

伊島には1654年(承応3年)、神野惣右衛門が森甚五兵衛の命を受けて移住しました。それ以来、島は集落を中心に発展し、阿波水軍の拠点としての役割を担ってきました。しかし、1865年(元治元年)の大火災や1883年(明治16年)の再度の火災によって、島は甚大な被害を受けました。これらの災害を乗り越え、島民たちは復興に尽力しました。

重要湿地500への選定

2001年12月27日には「伊島および周辺沿岸」が日本の重要湿地500に選定され、豊かな自然環境が保護されています。湿地は島の自然環境を維持し、さまざまな動植物が生息しています。

観光スポット

當所神社

伊島には當所神社(とうしょじんじゃ)があります。この神社は古来より「伊島神社」や「伊島大明神」として知られていましたが、明治以降に現在の名称に改められました。創建年は不詳ですが、『阿波志』には「伊島祠、伊島にあり、石を以て主となす」との記載があり、島全体が神聖な存在として崇められてきました。祭神は奥津那藝佐毘古神・奥津甲斐辨羅神・奥疎神の三神であり、この神々が祀られている唯一の神社として知られています。

松林寺

伊島のもう一つの名所として、高野山真言宗の松林寺(しょうりんじ)があります。松林寺は、山号を補陀落山とし、本尊に十一面観音を祀っています。創建年は不詳ですが、平安時代に空也が伊島に渡り、7日間不眠不動の修行を行い、本尊を刻んだことが始まりとされています。この寺院は、江戸時代に阿波水軍の森甚五兵衛が檀那として支え、島の中心的な存在となりました。また、北部には奥の院観音堂があり、空也が建立したと伝わっています。

交通アクセス

本土との連絡

伊島へは、本土の阿南市津乃峰町にある答島港と伊島漁港を結ぶ伊島・答島航路によってアクセスできます。この航路は、伊島連絡交通有限会社によって運営されており、1日3往復の連絡船が運航しています。2020年に建造された「みしま」(19トン、軽合金船)が使用され、片道約30分の航海です。答島港の最寄り駅は、JR牟岐線の阿波橘駅となっています。

文化と伝統

当所神社の祭神

當所神社は、奥津那藝佐毘古神・奥津甲斐辨羅神・奥疎神の三神を祀る全国でも珍しい神社です。この三神は、火や水の神として知られており、古くから島民や漁師たちの信仰の対象となってきました。特に、火の神は家内安全や火難除けの神として信仰されています。

松林寺と空也

松林寺の縁起によれば、平安時代に空也が伊島に渡って修行を行い、その際に十一面観音を刻んだとされています。この修行は、空也の深い信仰心と精神力を示すものであり、現代でも松林寺は信仰の場として島内外から多くの参拝者を迎えています。

まとめ

伊島は、美しい自然と歴史的な名所が融合した魅力的な島です。過疎化が進む中でも、島民たちは島の伝統や文化を守り続けています。自然豊かな環境で釣りやハイキングを楽しむことができ、また歴史的な神社や寺院を訪れることで、古代から続く島の歴史を感じることができます。阿南市から伊島へのアクセスも容易で、四国の隠れた観光スポットとしておすすめの場所です。

Information

名称
伊島(徳島県)
(いしま)

阿南・日和佐(美波)

徳島県