千福寺は、徳島県阿南市に位置する高野山真言宗の寺院です。津乃峰山 千福寺と号し、阿波三峰のひとつに数えられる津乃峰山神社との深い関わりを持っています。本尊は薬師如来で、秘仏として祀られています。脇佛には、不動明王座像(向かって左)と弘法大師(空海)座像(向かって右)が安置されています。
本尊真言: おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
千福寺は、仏教寺院としては珍しく、本堂の祭壇に鳥居が設置されています。この鳥居は、地域住民と津乃峰山神社との強い結びつきを象徴しており、寺院名にも「津乃峰山」が冠されています。
また、本堂左奥にある観音堂には、聖観世音菩薩、弘法大師、地蔵菩薩が祀られています。観音堂の前には、七福神舟と曼荼羅石が置かれており、参拝者はこれらを通じてより深い信仰心を感じることができます。
千福寺の蔵には、1788年(天明8年)に住吉屋治兵衛が作製した鋳銅製の顎口や、江戸時代の松村(藤原)吉次による銅製の古鏡が奉納されています。これらの宝物は、寺院の歴史的な価値を高めています。
寺記によれば、千福寺の歴史は神亀元年(724年)に遡ります。この年、行基が諸国を遍歴していた際に、病気平癒や心身安楽、除災招福をもたらす薬師如来の尊像を感得し、自ら一刀三礼して薬師如来の像を刻み、安置しました。その後、千福寺は霊験あらたかで、多くの信徒の帰依を受け、現在に至るまで法灯が継承されています。
文政元年(1818年)には、本堂と庫裡が改築されましたが、その後も幾度となく修復が行われました。そして、2009年11月21日には、約200年ぶりに本堂と庫裡が改築され、新たな姿を迎えました。この際、庄野光昭僧正(高野山真言宗宗務総長)を導師として、盛大な落慶法要が行われました。
落慶法要の際には、千福寺境内で稚児行列も行われ、地域住民や参拝者が参加して寺院の新たな門出を祝いました。
千福寺の入り口には、荘厳な山門が立っています。訪れる人々を迎えるこの門は、寺院の歴史と格式を感じさせます。
本堂は千福寺の中心であり、薬師如来が祀られています。普段は秘仏としてその姿を見ることはできませんが、祭事や特別な日にその姿が公開されることがあります。
本堂の左奥に位置する観音堂には、聖観世音菩薩、弘法大師、地蔵菩薩が安置されています。観音堂の前には、七福神舟と曼荼羅石が置かれており、参拝者はこれらを通じて願いをかけることができます。
鐘楼堂は境内にあり、参拝者は鐘を鳴らして祈願することができます。鐘の音は清らかな響きで、心を落ち着かせる効果があると言われています。
庫裡は僧侶の住まいや寺務を執る場所であり、参拝者が立ち入ることはできませんが、寺院の管理や運営の中心的な施設です。
境内には、弘法大師(空海)の像も安置されています。弘法大師は千福寺の信仰の象徴であり、多くの信者がその教えに帰依しています。
千福寺へは、四国旅客鉄道(JR四国)牟岐線を利用し、見能林駅で下車するのが最も便利です。駅から寺院までは約0.4kmの距離で、徒歩でアクセス可能です。
千福寺には参拝者用の駐車場が5台分用意されています。お車で訪れる際には、この駐車スペースをご利用ください。
千福寺の近くには、北の脇海水浴場があります。夏季には多くの観光客で賑わい、美しい海と白い砂浜が楽しめます。
津乃峰山スカイラインは、ドライブに最適な観光ルートで、山の上からの美しい景色を楽しむことができます。自然に囲まれたこの道は、季節ごとの風景が魅力です。