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海陽町

(かいようちょう)

海陽町は、徳島県南部に位置する町で、海部郡に属しています。徳島県で最も南に位置し、太平洋に面した町として知られています。2021年(令和3年)11月、海陽町に本社を置く阿佐海岸鉄道が、世界初のデュアル・モード・ビークル(DMV)運行を開始し、鉄道ファンの間で話題となりました。

この町は自然の豊かな風景、歴史ある社寺や文化財が点在する美しい観光地として知られています。四季折々の魅力を持つ海陽町は、訪れる人々にリラックスできる環境と、心に残る体験を提供します。

社寺・史跡

海陽町には、数多くの歴史ある社寺や史跡が点在しており、文化的な深みを感じさせてくれます。四国霊場巡りの一環として訪れる人も多いこのエリアには、霊験あらたかな寺院や神社が多数存在しています。

鯖大師本坊(四国別格二十霊場4番)

鯖大師本坊は、四国別格二十霊場の4番札所として知られています。多くの参拝者が訪れ、平和と癒しを求める巡礼者たちにとって重要な場所です。

江音寺(新四国曼荼羅霊場86番札所)

新四国曼荼羅霊場の86番札所である江音寺は、その静寂な環境と荘厳な佇まいが魅力的です。歴史と信仰を感じられる場所として、多くの人々が足を運びます。

その他の歴史ある寺院・神社

城満寺、法華寺、円通寺(廃寺)、浪切不動尊、和奈佐意富曽神社(延喜式内社)、宍喰八坂神社、宍喰八幡神社、大里八幡神社、浅川天神社、那佐神社、竹ヶ島神社といった寺院や神社があり、それぞれに個別の魅力や歴史が詰まっています。また、古代の遺跡として知られる大里古墳も見逃せないスポットです。

名所・自然スポット

海陽町には美しい自然景観が広がっており、観光客に自然の驚異や美しさを提供しています。特に、海岸線や滝、自然公園などのスポットは、多くの人々に愛されています。

大里松原海岸

「日本の白砂青松百選」に選ばれた大里松原海岸は、海と砂浜が織りなす風景が特に美しく、日本でも特選に選ばれるほどの魅力を誇っています。白い砂浜と澄んだ青い海が広がり、訪れる人々にリラックスできる空間を提供します。

大手海岸と大砂海水浴場

大手海岸は、のどかな雰囲気が漂い、海を眺めながらのんびりと過ごすことができる場所です。また、大砂海水浴場は「快水浴場百選」にも選ばれており、家族連れや友人同士で楽しむ海水浴スポットとして人気があります。

轟九十九滝

「日本の滝百選」に選ばれた轟九十九滝は、雄大な自然の中で連なる滝の美しさが特筆されます。特に丸渕滝はその名でも知られ、涼しげな水音とともに、訪れる人々を癒します。

その他の自然名所

海老ヶ池や水床湾、那佐湾、那佐半島、竹ヶ島なども観光に訪れるべき美しい自然のスポットです。竹ヶ島には、海洋自然博物館「マリンジャム」もあり、島の自然環境や海洋生物について学ぶことができます。

天然記念物

宍喰浦の化石漣痕や母川オオウナギ生息地、鈴ヶ峰のヤッコソウ発生地といった場所は、天然記念物に指定されており、その希少価値と自然の不思議さを感じることができます。

公園

家族連れやアウトドア愛好者にとって、海陽町には美しい公園も多数あります。リラックスしたひとときを過ごすための場所として、訪れてみる価値があります。

竹ヶ島海中公園

竹ヶ島海中公園は、透明度の高い海でシュノーケリングやダイビングが楽しめる海中公園です。豊かな海洋生物とともに、美しい海中の景観を体験できる人気のスポットです。

その他の公園

漁火の森公園や南阿波ピクニック公園、蛇王運動公園、鞆奥漁港海浜公園など、緑豊かな公園が揃っており、ピクニックや散策を楽しむのに最適です。特に、自然に囲まれた環境でのひとときは、心身をリフレッシュさせてくれます。

その他の観光スポット

海陽町の観光名所には、ピアカイフというショッピングエリアも含まれています。地元の特産品や土産物を購入したり、地元の食文化を楽しんだりできる場所として、多くの観光客に人気です。

地理と自然環境

山と河川

海陽町の北側には、険しい海部山地が広がっており、ここに降り注ぐ多量の雨水が海陽町を代表する河川、海部川を形成しています。この川は町内の広い範囲を流れ、太平洋へと注ぐ河口には市街地が広がっています。

また、町内には南海トラフ巨大地震による津波のリスクがあり、最大12メートルの津波が到達する可能性があると予測されています。この高さは、徳島県内の市町別で2番目に高いものです。

海陽町の主な山々

町内には標高1000メートルを超える山々がいくつも存在し、代表的な山としては、吉野丸(1116.3m)、鰻轟山(1046m)、金瀬(1147.3m)などがあります。また、海陽町内には海部川をはじめ、母川王余魚谷川野根川など、豊富な河川が町全体を潤しています。

気候

海陽町は、典型的な太平洋側気候の影響を受けており、年間を通じて降水量が非常に多いのが特徴です。また、台風の影響も頻繁に受けるため、自然環境は厳しいものがあります。

海陽町の歴史

古代の海陽町

海陽町は古くから海運が盛んな地域として栄え、豊富な森林資源と海上交通の発展が町の繁栄を支えてきました。芝遺跡からは3世紀に遡る土器が出土しており、これにより徳島・高知を結ぶ海上ルートが弥生時代末期から古墳時代初期にかけて開発されていたことが示唆されています。

中世の海陽町

中世に入ると、海部氏がこの地域を支配し、彼らの活躍が多くの史料に残されています。1352年には海部但馬守が細川顕氏に従って山城国での治安維持を命じられ、1392年には細川頼元に随従して京都の相国寺落慶供養に参加した記録があります。また、1445年の「兵庫北関入船納帳」には、海部船籍の船が四国一の数で兵庫港に入港していたことが記されています。

海部刀と木材輸送

海陽町は中世から室町時代にかけて、刀鍛冶の産地としても知られ、海部刀が生産されていました。この刀は、戦国時代に一時衰退しましたが、江戸時代には再び徳島藩主によって保護され、刀工の氏吉一族は徳島城下で活動を続けました。また、1445年当時、海陽町から神戸までの木材輸送も盛んであり、海陽町の港は全国有数の木材集積地でした。

海部城の歴史

1575年、長宗我部元親によって海部城が落城し、町の歴史は大きな転機を迎えました。この城は、海部川河口の城山に築かれ、古くから海運の監視所として重要な役割を果たしていました。戦後には城山周辺の開発が進み、現在もその歴史的な価値が再評価されています。

現代の海陽町

海陽町は、2006年(平成18年)に海南町海部町宍喰町が合併して誕生しました。町の象徴ともいえる阿佐海岸鉄道のデュアル・モード・ビークル(DMV)の運行開始は、観光資源としても注目され、鉄道ファンのみならず、国内外から多くの観光客を引き寄せています。

観光名所

浅川湾と大手海岸

海陽町は太平洋に面しており、美しい自然景観を楽しむことができます。浅川湾大手海岸は、地元の人々だけでなく、観光客にも人気のスポットです。海陽町の澄んだ海と雄大な自然は、訪れる人々に癒しと冒険の両方を提供してくれます。

宍喰川の清流

宍喰川は、町内を流れる清流で、その美しい風景は多くの自然愛好者に愛されています。また、川沿いではカヌーや釣りなどのアウトドア活動も盛んで、家族連れや友人同士で楽しむことができます。

阿佐海岸鉄道とDMV体験

海陽町の観光の目玉の一つが、阿佐海岸鉄道によるデュアル・モード・ビークル(DMV)体験です。鉄道とバスの機能を併せ持つこの乗り物は、世界でも珍しい存在で、乗車体験は観光客にとって特別な思い出となるでしょう。鉄道ファンはもちろん、家族連れやカップルなど、幅広い層に人気です。

まとめ

海陽町は、歴史的な背景と美しい自然環境に恵まれた町であり、現代でも阿佐海岸鉄道のDMVなど新しい観光資源を開発しています。海と山に囲まれた町は、訪れる人々に豊かな自然と歴史を感じさせ、様々なアクティビティや観光スポットを楽しむことができます。今後も、海陽町はその魅力をさらに広げ、多くの人々を引き寄せる観光地として発展していくことでしょう。

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名称
海陽町
(かいようちょう)

阿南・日和佐(美波)

徳島県