津乃峰山は、徳島県阿南市に位置する標高284メートルの山です。この山は、日峰山、中津峰山とともに「阿波三峰」として知られており、地域の自然の美しさを代表する存在となっています。山頂からは美しい橘湾の景色を眺めることができ、多くの観光客やハイカーに親しまれています。
津乃峰山は、8合目までは延長3.7kmの有料道路である「津峯スカイライン」が通っており、車でのアクセスが便利です。また、山頂に至るリフトも運行されており、2007年に安全基準を満たさないことが判明したため一時運休していましたが、改修工事が完了し、2010年11月1日から運行が再開されました。なお、スカイラインの終点付近にあった国民宿舎は、現在は研修施設の宿舎として利用されており、営業は行われていません。
山頂には「津峯神社」があり、延命長寿と交通安全の守り神として信仰されています。津乃峰山の最高地点は津峯神社の本殿付近ですが、三角点はスカイライン終点駐車場の東の峰にあり、その標高は247.1メートルです。
津峯神社(つのみねじんじゃ)は、徳島県阿南市の津乃峰山の山頂に位置する神社です。この神社は式内社で、旧社格は郷社となっています。現在は神社本庁の別表神社に認定されています。神社は、漁師や船舶・交通関係者の信仰を集めており、津峯神社、大麻比古神社(鳴門市)、二ノ宮八幡神社(名西郡神山町)の例大祭は「阿波の三大祭り」として知られています。
津峯神社には、主祭神として賀志波比売大神(かしはひめのおおかみ)、相殿に大山祇大神(おおやまつみのおおかみ)が祀られています。賀志波比売大神は、開運延命や病気平癒、海上安全の神として広く信仰されています。また、境内社にある恵比須大神は「阿波の七福神」の一つとされています。
社伝によれば、神亀元年(724年)、神託により賀志波比賣命が津乃峰山の山頂に祀られたとされています。このことは、国家鎮護や延命長寿の神としての意義を持っています。また、延喜式神名帳にも「阿波国那賀郡 賀志波比売神社」として記載されています。後に、忌部氏が社殿を再建し、中世には細川頼之や三好長慶も信仰したと伝えられています。
しかし、天正年間に長曾我部元親による阿波侵攻の際に神社は焼失し、その後、阿波国主の蜂須賀家によって再建されました。1946年(昭和21年)の南海地震で倒壊した神社も、後に再建され、1950年(昭和25年)には神社本庁の別表神社に加列されました。
津峯神社の境内には、いくつかの主要な建物が存在します。
津乃峰山の麓には、賀志波比売命を祀る賀志波比売神社が存在します。ここは、社伝によれば賀志波比売命が最初に祀られた地とされています。その後、賀志波比売命が津乃峰山の山頂に遷座しましたが、元の鎮座地にも祠が残されているとされています。1952年(昭和27年)には、賀志波比売神社の社地の大部分が市に提供され、保育所が建設されましたが、1988年(昭和63年)に保育所が移転した際に元の境内が神社に返還され、1990年(平成2年)には新社殿が造営されました。
津峯神社では一年を通じて様々な祭事が行われています。主な祭事は以下の通りです。
特に桜まつりでは、子ども・女子・男子の部ごとに「捧餅競技」が行われ、大三宝に乗せた大鏡餅を持ち上げて土俵を回る様子は、観光客にも人気があります。
津乃峰山の所在地は、徳島県阿南市津乃峰町東分343です。アクセスは自動車が便利で、8合目まで津峯スカイラインが通っています。
8合目には250台駐車可能な駐車場があります。駐車場からは300段程の石段を上るか、参詣リフトを利用することで山頂へアクセスできます。徒歩での登山ルートも整備されており、自然を満喫しながら登山を楽しむことができます。
津乃峰山は、徳島県阿南市に位置し、自然の美しさと文化的な魅力が詰まった観光スポットです。山頂にある津峯神社は、延命長寿や交通安全を祈願する多くの人々に愛されています。訪れることで、素晴らしい景色や地域の文化に触れることができるため、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。