津島は、徳島県牟岐町に位置する無人島で、自然豊かな景観と多様な生態系を誇ります。小規模ながらもその特異な地形と植物群により、観光地としても知られています。
津島は、徳島県海部郡牟岐町に属し、出羽島の北端から約2km東方に位置しています。島の形状は中央が細くくびれており、東西に大きく分かれています。島の最高地点は標高44mで、暖地性の植物群が島全体を覆っています。
島の大部分はシイの常緑広葉樹に覆われており、岸壁にはアコウやクロマツが群生しています。これらの植物群は、1973年に「津島の暖地性植物群落」として国の天然記念物に指定されました。これにより、津島は自然保護の観点からも重要な島となっています。
津島は、近隣の大島と共に釣りのメッカとしても知られています。周辺の小島を7つの区域に分け、釣りを楽しむために磯上がりを行う際は抽選が行われています。このような環境は、釣り愛好家にとって貴重な場所となっています。
大島は、徳島県牟岐町にある周囲約8kmの無人島で、美しい自然が多く残されています。徳島県内では釣りやダイビングの名所として有名であり、特に「とくしま88景」にも選定されています。
大島は、標高約200m、周囲約8kmの急勾配な地形を持っています。島の周囲は切り立った崖が多く、西部にある船着き場以外からの上陸は困難です。この厳しい自然環境が人の手を寄せ付けず、現在でも豊かな自然がそのまま残されています。
島の西部には「珍宝岩」と呼ばれる男性器の先端に似た形状の岩があり、古くからの伝説に基づき、毎年「姫神祭」という祭りが行われています。また、南西部には「カツオのタタキ岩」と名付けられた高さ100mの岩壁があります。これは、2024年に新たに命名されたスポットです。
島全体が森林に覆われており、タブノキやシラタマカズラが主に自生しています。また、島の周辺海域には珊瑚礁が広がっており、イサキやクマノミなど温帯・亜熱帯の魚が生息しています。ただし、日本紅斑熱を媒介するマダニが多く生息しているため、観光の際には注意が必要です。
大島に渡る手段は、牟岐港からの船便のみです。定期便は運航されていないため、事前に地元のダイビングクラブや渡船業者に依頼する必要があります。また、島は個人所有のため、無断での立ち入りは禁止されています。
出羽島は、徳島県牟岐町に位置する有人島で、集落地を除く全域が室戸阿南海岸国定公園に指定されています。漁業を中心とした伝統的な文化が今なお息づく島として、多くの観光資源を有しています。
出羽島は、牟岐川の河口から約4km南方に位置し、太平洋に面しています。面積は約0.65km²で、そのうち77%が森林で覆われています。島の周囲には遊歩道が整備されており、出羽島灯台からは四方の美しい景色を楽しむことができます。
出羽島灯台は、島の遊歩道の先にあり、東に紀州、西に室戸、南に太平洋、北に四国山脈を望む絶景スポットです。この場所は、訪れる観光客にとって自然の美しさを満喫できる場所となっています。
島内には国の天然記念物に指定されている「大池のシラタマモ自生地」があります。この場所は、希少な植物が自生しており、自然愛好家にとっても見逃せないスポットです。
出羽島の漁村集落は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。江戸時代から昭和時代初期にかけて形成されたこの集落は、鰹漁の繁栄とともに発展しました。整然とした漁家の主屋が建ち並ぶ景観は、歴史的な価値が高く評価されています。
出羽島の郷土料理として「島そうめん」が知られています。このそうめんは、島で獲れたレンコダイの煮付けの煮汁をめんつゆとして使用するのが特徴です。この伝統的な料理は、島の文化を今に伝えるものとして、多くの観光客に親しまれています。
出羽島へは、牟岐港から渡船「大生丸」が運航しています。1日6往復の連絡船で、所要時間はわずか15分です。この航路を利用することで、観光客は島の魅力を存分に楽しむことができます。
津島、大島、出羽島のいずれも、自然豊かな景観と豊富な観光資源を有する徳島県牟岐町の重要な島々です。それぞれの島は、独自の魅力を持っており、釣りやハイキング、歴史的建造物の見学など、訪れる人々に多様な楽しみを提供します。これらの島々を訪れる際には、事前に交通手段を確認し、自然を大切にしながら楽しむことが求められます。