竹ヶ島は、徳島県海部郡海陽町の沖合いに浮かぶ島で、徳島県最南端の室戸阿南海岸国定公園のほぼ中央に位置しています。面積はおよそ0.4平方キロメートル、最高所は標高97.6メートルです。この島は1973年に竣工された「竹ヶ島橋」で本土と繋がっており、訪れる際には車でアクセスすることが可能です。竹ヶ島は、主にマグロ漁の基地として利用されており、島内では伝統的な漁業が今でも盛んに行われています。
竹ヶ島内には、多くの珍しい石が点在しており、「頂上石」「坊主岩」「亀石」「ゆるぎ石」「空中石」「石の板」「ビシャゴ巨石」などがその代表例です。これらの自然の造形美は、訪れる人々に感動を与え、写真撮影スポットとしても人気です。
竹ヶ島には多くの観光スポットが点在しており、島を訪れる観光客に豊かな自然や歴史的な景観を提供しています。特に注目されるのは以下の施設です。
竹ヶ島海中公園は、島の北西部一帯に位置し、環境庁が指定した自然保護エリアです。ここでは、シーカヤックや海中観光船による海の散策など、さまざまなマリンレジャーが楽しめます。また、この公園は「四国の道」としても知られており、散策をしながら太平洋の壮大な景色を楽しむことができます。
「マリンジャム」では、島周辺の海洋生物や自然環境に関する展示があり、訪れる人々に海の生態系の重要性を伝える博物館です。シーカヤックや水中ガラス窓付き観光船を利用して、海中の美しい景観を楽しむことができる体験型施設としても人気があります。
竹ヶ島神社は、竹ヶ島港の正面に位置する神社で、国常立命(くにとこたちのみこと)を主神とし、大漁祈願や海上安全の守護神として崇められています。神社で毎年5月に行われる「竹ヶ島神社祭り」では、海中神輿が見どころであり、多くの観光客が訪れます。この神輿は、掛け声とともに海中に入っていき、島の守護神を祀る伝統的な儀式です。
竹ヶ島は、その豊かな自然だけでなく、古代からの歴史的背景や伝説が色濃く残る場所でもあります。南西諸島から四国本土への通過点として、古代の航海者たちにとって重要な拠点となっていました。竹ヶ島が由緒ある聖地として崇められてきた理由には、島の特異な地勢や、古代の人々が航海中に目印として利用していたことが挙げられます。
古代の日本列島への移住者たちは、台湾から琉球を経て南西諸島を北上し、四国や本州へと航海していました。彼らが拠点とした場所の一つが竹ヶ島です。竹ヶ島は、海上から一目で確認できる独特な地形を持ち、古代人にとっては重要な航海の目印でした。また、室戸岬や伊島と並び、竹ヶ島は四国の東岸を経由して淡路島方面へ向かう航海路上の拠点となっていました。
竹ヶ島は、古代より神聖な場所とされてきました。その理由の一つとして、島の岸壁に見られる巨石群が挙げられます。竹ヶ島の東岸にはタービダイトという堆積物の地層が広がっており、この地層が隆起して巨石が現れたのです。この巨石群は、古代人にとって特別な意味を持ち、神聖視されていました。島全体が「岩の島」として、海上を航海する人々にとっては聖なる存在として崇められていたのです。
竹ヶ島は現在、過疎化の問題に直面しています。特に伝統的な「海中神輿」の行事は、地域の若手不足から2017年に中止を余儀なくされました。しかし、竹ヶ島の魅力や歴史的な価値は、今もなお失われていません。観光や地域振興の取り組みが進められており、将来的には地域の活性化が期待されています。
竹ヶ島は、その美しい自然環境や歴史的背景から、観光地としてのポテンシャルを秘めています。竹ヶ島海中公園やマリンジャム、竹ヶ島神社などの観光施設を通じて、より多くの人々に竹ヶ島の魅力を伝えることができます。これにより、島の観光産業がさらに発展し、地域の活性化に繋がることが期待されています。
竹ヶ島の自然環境を守りながら観光を発展させるためには、持続可能な観光の視点が不可欠です。環境保護の取り組みを進めつつ、地域資源を活用した観光プログラムを開発することで、竹ヶ島は長期的に観光客を引きつける魅力的な場所となるでしょう。
竹ヶ島は、1973年に竣工した「竹ヶ島橋」で本土とつながっており、車や徒歩で自由にアクセスすることが可能です。
竹ヶ島へのアクセスは、JR牟岐線「阿波海南駅」から阿佐海岸鉄道阿佐東線「宍喰駅」まで乗車し、駅から車で約5分です。また、阿佐海岸鉄道「宍喰駅」から徳島バス甲浦行き「竹ヶ島」バス停で下車し、徒歩で約5分の距離にあります。
竹ヶ島は、徳島県の最南端に位置する美しい自然と歴史を持つ島です。古代からの航海者にとって重要な拠点であり、神聖視されてきた場所でもあります。現在は観光地としてのポテンシャルを持ちながらも、過疎化の問題に直面していますが、持続可能な観光を通じて未来への希望が広がっています。竹ヶ島を訪れる際には、自然と歴史の調和を感じながら、その魅力を存分に楽しんでください。