日和佐うみがめ博物館カレッタは、徳島県海部郡美波町に位置し、ウミガメに関する貴重な展示を行う博物館です。館名の「カレッタ」は、アカウミガメの学名「Caretta caretta」に由来しており、世界でも珍しいウミガメ専門の博物館として知られています。
日和佐うみがめ博物館カレッタでは、ウミガメの生態や進化に関する多様な展示が用意されており、訪れる人々に学びと感動を提供しています。館内の展示は、1階と2階に分かれ、屋外の水槽でもウミガメを見ることができます。
1階では、世界各地のウミガメの剥製や、ウミガメの進化の過程を解説する展示が充実しています。来館者は、ウミガメの生態やその進化を、ビジュアルやテキストを通じて深く学ぶことができます。
2階では、ウミガメに関するクイズコーナーや、120インチのハイビジョンシアターが設置されており、ウミガメについての学習や体験が可能です。ハイビジョン映像を通じて、ウミガメの産卵行動や生活習慣などが学べるので、子供から大人まで楽しみながら学べる構成になっています。
屋外には、大きなウミガメが悠々と泳ぐ「大ガメプール」があり、1メートルを超えるウミガメを見ることができます。飼育されている個体の中には、1950年(昭和25年)に生まれた、年齢の明らかな個体として世界記録を持つウミガメもいます。また、来館者はウミガメにおやつをあげることもでき、貴重な体験が楽しめます。
館内には、大浜海岸を一望できる展望台があり、美しい風景とともにウミガメに思いを馳せることができます。さらに、ウミガメの進化や歴史を学べる「太古のフロア」や、世界中のウミガメの剥製が展示されている「剥製コーナー」もあり、ウミガメの知識を深めることができます。
日和佐うみがめ博物館カレッタでは、多種多様なウミガメが展示されています。以下に、その主な展示生物を紹介します。
アカウミガメは、日本の大浜海岸にも産卵のために訪れる種類で、その赤茶色の体色と大きな頭が特徴です。成体になると全長1メートル以上にもなり、貝やエビなどを好む肉食性のウミガメです。太平洋を横断し、広範囲にわたって回遊することが知られています。
アオウミガメは、産卵地として小笠原諸島や南西諸島を選び、四国では産卵しません。しかし、美波町近海では産卵に向かう途中の若いカメたちが、海藻を食べて成長するために立ち寄ります。草食性であり、成体になると全長1.5メートルを超えることもあります。
日和佐うみがめ博物館カレッタでは、他の水族館から提供された子ガメを展示公開しています。通常、アカウミガメの子ガメは黒潮に乗り外洋へと旅立ち、人間が見ることは非常に稀ですが、館内では成長を目指して飼育され、一部は野生復帰のために放流されています。
アオウミガメの子ガメも展示されており、これらは屋久島で生まれた個体です。屋久島ウミガメ館と連携して展示しており、生後1年後には屋久島に帰されます。
タイマイは、沖縄県や八重山諸島で産卵する熱帯性のウミガメで、カイメンという動物を食べて生活しています。その美しい甲羅は、かつてベッコウ細工の原料として乱獲されてきました。徳島でも稀に冬の寒さで動けなくなった個体が発見され、一時的に保護されることがあります。
クロウミガメはアオウミガメと似ていますが、全身が真っ黒で、甲羅はハート型をしています。分類上はアオウミガメの亜種とされていますが、その見た目の違いから別種と考える研究者もいます。元々はメキシコ西海岸沿岸で生息していますが、稀に日本でも発見されることがあります。
ウミガメの進化や生態をより深く理解するために、博物館ではリクガメや淡水ガメなど、約15種類のカメも飼育展示されています。これにより、ウミガメを中心に、カメ全般の進化や生態について幅広く学べる施設となっています。
日和佐うみがめ博物館カレッタへのアクセスは、以下の通りです。
JR牟岐線の日和佐駅から徒歩約20分で到着します。駅からは徒歩でゆったりと美波町の景色を楽しみながら博物館に向かうことができます。
車でのアクセスも可能で、周辺には駐車場も整備されています。訪れる際は事前に交通手段を確認すると良いでしょう。
日和佐うみがめ博物館カレッタは、NHKの朝の連続テレビ小説『ウェルかめ』の舞台の一つにもなりました。ドラマ内では「ウミガメ館」として描かれ、美波町の象徴的な存在となっています。また、ウミガメの保護活動にも力を入れており、自然環境の保全にも貢献しています。
日和佐うみがめ博物館カレッタは、ウミガメの生態や進化、そして保護活動について学ぶことができる、貴重な教育の場です。美しい海岸線と共に、ウミガメたちの生きる姿を体験しに、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。