太龍寺ロープウェイは、徳島県那賀町の鷲の里駅から阿南市の太龍寺駅を結ぶ、四国ケーブルが運営するロープウェイ路線です。全長2,775メートルで、西日本で最も長く、日本で初めて山越えを行うロープウェイとしても知られています。このロープウェイは「四国八十八景」の第17番に選ばれており、その「西日本最長ロープウェイからの雄大な眺め」は和歌山まで見渡せることでも有名です。
太龍寺ロープウェイは、1992年7月21日に開業し、総工費は22億円に達しました。このロープウェイは、四国八十八箇所霊場の第21番札所である舎心山太龍寺への直通路として利用されています。乗車時間はわずか11分で、標高476メートルの山頂にある本堂の石段下まで一気に到達することができます。
かつて、この場所は「遍路ころがし」と呼ばれる難所の一つであり、悪路を徒歩で進む必要がありました。しかし、ロープウェイの開通により、多くの参拝者が楽に太龍寺を訪れることができるようになりました。
ロープウェイからは、那賀川流域や剣山山系、紀伊水道、橘湾、さらには鳴門方面の素晴らしい眺望が楽しめます。晴れた日には、遠くに淡路島や和歌山の景色も広がります。
移動中には、四国八十八箇所霊場の第20番札所である鶴林寺の三重塔の屋根も一瞬だけ望むことができます。また、太龍寺山にはかつてニホンオオカミが生息していたとされ、山中には5匹の狼の像が設置されています。さらに、太龍寺山の山頂近くには、流政之のブロンズ作品「ヤマサキモリ」が配置されており、文化的な魅力も楽しむことができます。
ロープウェイの後半部分では、太龍嶽(舎心嶽)に座る空海の像が見えてきます。この場所は、延暦16年(797年)に空海が24歳の時に修行した地として知られており、その修行の様子が「三教指帰」にも記述されています。また、この山には空海ゆかりの「燈明杉」もあり、これも見逃せないスポットです。
太龍寺ロープウェイの起点となる鷲の里駅は、那賀町の道の駅「鷲の里」に併設されています。この駅からは、那賀川を渡り、山頂に向かうロープウェイの旅が始まります。
山頂に位置する太龍寺駅は、到着するとすぐに太龍寺の本堂へのアクセスが可能です。駅から見渡せる雲海や山頂の眺望は、訪れる人々に感動を与えることでしょう。
太龍寺ロープウェイへのアクセスは、公共交通機関や自家用車を利用できます。以下の情報を参考にして、スムーズに訪問しましょう。
徳島駅からは、徳島バス(橘線)および徳島バス南部(丹生谷線)を利用し、那賀町和食東で下車後、徒歩10分で鷲の里駅に到着します。所要時間は約1時間30分です。
最寄り駅はJR牟岐線の桑野駅または阿南駅です。そこから、徳島バス南部(丹生谷線)に乗り、那賀町和食東で下車後、徒歩10分で鷲の里駅に到着します。
自家用車で訪れる場合は、徳島ICから約1時間の距離です。カーナビで「太龍寺ロープウェイ山麓駅」または電話番号「0884-62-3100」で検索すると便利です。
ロープウェイの敷地内には食堂「菩提樹」があり、11:30~14:00の間に食事を楽しむことができます。不定休のため、訪問時に確認することをお勧めします。
2024年6月15日に再オープンした「いやし亭心空koku」をはじめ、周辺には「果樹園オーナーの宿『碧』」や「民宿ほたるの宿」などの宿泊施設も充実しています。
太龍寺ロープウェイ周辺には、四国八十八箇所霊場の他、那賀川や蛭子神社、午尾の滝などの自然観光スポットが豊富です。観光の合間には、道の駅鷲の里や道の駅わじきを訪れ、地元の特産品やお土産を楽しむこともおすすめです。
太龍寺ロープウェイは、歴史と自然、そして絶景を同時に楽しむことができるスポットです。空海ゆかりの地である太龍寺や、かつての難所「遍路ころがし」の歴史を感じながら、四国の大自然を満喫できるこのロープウェイは、訪れる価値のある観光名所と言えるでしょう。