一宇峡は、徳島県美馬郡つるぎ町に位置する美しい峡谷です。延長10kmにわたるこの峡谷は、吉野川水系の一宇川(貞光川)の流れによって形成され、徳島の自然美を代表する観光地の一つです。また、「とくしま水紀行50選」にも選定されており、多くの観光客が訪れる場所として知られています。
一宇峡は、剣山国定公園の中にあり、標高1711.9mの丸笹山から流れ出た水が峡谷を形成しています。この渓谷は、険しい地形が特徴で、周囲には鳴滝や土釜などの名所も点在しています。四季折々の自然が楽しめ、春にはツツジが咲き誇り、秋には紅葉が峡谷を鮮やかに染め上げます。
一宇峡の中でも特に人気のスポットが「土釜」です。巨大な釜の形をした岩が特徴で、激しく流れ落ちる水が見せる迫力ある光景は、一見の価値があります。写真映えする場所としても有名です。
土釜に続いて有名なのが「鳴滝」です。この滝は、高さはそれほどありませんが、清らかな水が渓谷に流れ込む様子が美しく、周囲の自然と調和しています。滝の音に癒されるこの場所は、訪れる人々に心の安らぎを与えます。
一宇峡へのアクセスは、JR「貞光駅」から四国交通バスの葛籠行きに乗車し、約45分で「八面橋」バス停に到着します。バス停からは徒歩ですぐの場所にありますので、アクセスも比較的容易です。
丸笹山(まるささやま)は、徳島県三好市・美馬市・美馬郡つるぎ町の境界に位置する標高1,711.9mの山です。花の百名山、四国百名山に選定されており、登山者に人気のスポットです。
丸笹山は剣山の北方2.5kmに位置しており、その美しい丸みを帯びた山容が特徴です。山頂付近には広がる笹原が一面に広がり、風に揺れる姿は圧巻です。また、剣山国定公園に含まれるこのエリアは、豊かな自然に恵まれ、登山者だけでなく野鳥観察やキャンプなども楽しめます。
丸笹山には、ブナやミズナラ、ダケモミなどの多様な樹木が茂っており、その豊かな自然が魅力です。また、季節ごとにさまざまな野鳥が姿を見せ、春にはウグイスやオオルリ、夏にはホトトギスやコマドリなどが訪れます。
丸笹山の登山道は、夫婦池からのプロムナード道が主要ルートで、所要時間は約1時間です。このルートは比較的登りやすく、初心者にも適しています。
さらに、赤帽子山からの縦走ルートもあり、こちらは木屋平村大森池のキャンプ地から約3時間の行程です。しっかりとした登山経験者向けのコースですが、その分達成感も味わえます。
丸笹山は古くから多くの人々に親しまれてきました。幕末の書物「灯下録」にも「丸笹が池あり」との記述が見られ、歴史的にも興味深い場所です。また、明治から大正時代にかけて、この山は「丸篠山」とも呼ばれていました。
昭和42年には、丸笹山を含む国有林が県民の森に指定され、環境保全が進められてきました。昭和44年には、丸笹山西中腹の夫婦池に資料館が建築され、動植物や鉱物の展示が行われています。資料館の近くにはキャンプ場もあり、アウトドアを楽しむことができます。
貞光川(さだみつがわ)は、徳島県を流れる吉野川水系の一級河川で、「木綿麻川(ゆうまがわ)」という別名も持っています。古代には忌部族が川の水を利用して織物を作っていたことから、歴史的にも重要な川です。
貞光川は、丸笹山に源を発し、美馬郡一宇村や貞光町を経て吉野川に合流します。この川は釣りの名所としても有名で、アメゴやアユなどが釣れることから、毎年多くの釣り愛好者が訪れます。
貞光川沿いには、「土釜」や「鳴滝」などの自然景勝地が点在し、豊かな自然が楽しめます。特に一宇峡は貞光川の一部であり、その美しい景観が多くの観光客を魅了しています。
貞光川は、かつて木材の流送に利用されていましたが、明治時代中期には郡道が開通し、その役割を終えました。その後、1925年には吉良発電所が、1931年には一宇村に切越発電所が建設され、電力供給にも大きく貢献しました。
貞光川には、法正谷川や平井谷川、鳴滝谷川など、いくつかの支流が合流しています。それぞれの支流も豊かな自然環境を持ち、川沿いの地域では観光や釣りが盛んに行われています。
一宇峡、丸笹山、貞光川は、徳島県美馬郡つるぎ町を代表する自然景勝地であり、豊かな自然と歴史的背景を楽しめる観光スポットです。四季折々の美しさを感じながら、渓谷や山々を巡る旅は、訪れる人々に癒しと感動を与えるでしょう。ぜひ足を運び、その魅力を体感してみてください。