奥祖谷二重かずら橋は、徳島県三好市東祖谷菅生の奥祖谷地区を流れる祖谷川に架かる自然豊かな吊橋です。この橋は、四国八十八景14番や四国のみずべ八十八カ所にも選定されており、その美しい景観と歴史的背景から、多くの観光客に親しまれています。
奥祖谷二重かずら橋には、「男橋」と「女橋」という二つの橋が並んで架かっています。これらの橋は、古くから生活道として利用され、現在は観光地として知られています。男橋は長さ42m、幅2m、水面からの高さは12mと大きめの橋で、女橋は長さ22m、幅1.2m、水面からの高さは4mと、やや小ぶりな造りです。2本の橋が並んでいることから、「夫婦橋」とも呼ばれています。
これらの橋は、志度合戦で敗れた平家一族が訓練に使用し、追手を防ぐためにいつでも切り落とせるように「しらくちかずら」を使って架設したと言われています。また、かずら橋の周囲には「野猿」と呼ばれる人力ロープウェイもありますが、2022年5月時点では一部の道が崩れているため休止中です。
かずら橋は、日本の原始的な吊橋で、サルナシ(しらくちかずら)などのつる植物を用いて造られた構造が特徴です。この橋は、徳島県三好市の西祖谷山村善徳にあるものが最も著名であり、観光地としても非常に有名です。しかし、その奥地にはさらに東祖谷菅生に2つのかずら橋があり、これが奥祖谷二重かずら橋です。これらの橋もまた観光地として多くの人に訪れられています。
かつて、祖谷には「祖谷十三橋」と呼ばれる多くのかずら橋がありました。現在は、そのうち西祖谷山村善徳と奥祖谷地区に2か所が残っています。平家の落人たちがこの地に逃げ込んだ際、追手から逃れるため、いつでも橋を切り落とせるように葛を使って架けたという伝説が残っています。さらに、これらの橋は木挽や漁師たちの生活道としても利用されていました。
現在、奥祖谷二重かずら橋は観光名所として、徳島県を訪れる観光客にとって重要なスポットの一つです。橋を渡るときには、古の人々が体感したような揺れや、下に流れる川を眺めるスリリングな体験ができます。さらに、この地域には季節ごとの美しい景色が広がり、春の新緑や秋の紅葉は特に見応えがあります。
奥祖谷二重かずら橋へは、徳島自動車道井川池田ICから車で約2時間30分かかります。また、公共交通機関を利用する場合、土讃線の阿波池田駅や大歩危駅から久保バス停に乗り換え、市営バス剣山行きで「かずら橋」バス停にて下車します。市営バスは8月と10月を除く平日は運休となるため、注意が必要です。
一方、三好市西祖谷山村善徳にある「祖谷のかずら橋」へは、土讃線の大歩危駅からバスで約30〜60分、車で約20分ほどで到着します。バス停「かずら橋」や「かずら橋夢舞台」からは徒歩数分の距離です。四国交通バスの他に、市営バスも運行していますが、曜日や季節によって運行状況が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
徳島県だけでなく、福井県今立郡池田町にもかずら橋が存在します。これは過疎対策の一環として1989年に観光資源として造られたもので、東祖谷から招いた職人たちの協力のもとで建設されました。全長44メートル、高さ12メートルのこの橋は、シラクチカズラを使用しており、3年ごとに架け替えが行われています。通行料は大人300円で、冬季は通行止めとなります。
さらに、香川県高松市屋島にあるテーマパーク「四国村」にも観光用のかずら橋が設置されています。こちらも人気の観光スポットの一つで、四国の自然と文化を体験できる施設の中で、かずら橋を渡ることができる魅力的な場所となっています。
祖谷のかずら橋は、日本三奇橋の一つであり、重要有形民俗文化財にも指定されています。この橋の起源には、弘法大師空海が村民のために架けたという説や、平家の落人が追手を逃れるために造ったという伝説が残っており、文化的にも非常に価値があります。1928年には地域振興の一環として、ワイヤーを使用した吊橋がかずら橋として復活し、以降も観光地として多くの人々に愛され続けています。
1970年には国鉄のディスカバー・ジャパンキャンペーンに登場し、その知名度は飛躍的に向上しました。現在でも年間35万人以上の観光客が訪れ、その美しさやスリルを体験しています。安全のために3年に一度、架け替えが行われており、材料となるシラクチカズラは主に高知県から取り寄せられています。
この橋の特徴をよく表している民謡に「祖谷の粉ひき節」があります。この歌は、橋の構造やその揺れる感覚をよく表現しており、観光客にも広く知られています。かずら橋は、ただの観光スポットではなく、地域の歴史や文化が色濃く反映された象徴的な場所です。
奥祖谷二重かずら橋や祖谷のかずら橋は、徳島県を代表する観光名所であり、その歴史的背景や伝説、自然の美しさから、多くの人々に愛されています。訪れる際は、アクセス方法や季節ごとの運行状況を確認し、古の人々が通った道を体感しながら、スリリングな吊橋渡りを楽しんでみてはいかがでしょうか。