本楽寺は、徳島県美馬市穴吹町三島にある真言宗御室派の寺院です。山号は蓮華山、本尊は阿弥陀如来像を祀り、地域の歴史や文化に深く根ざしたお寺です。本楽寺は、阿波西国三十三観音霊場の第5番札所として、また四国八十八景の第9番に選定されるなど、観光や参拝者にとっても見所の多い寺院です。また、にし阿波お勧めビューポイント100選にも選ばれています。
本楽寺は、828年(天長5年)に恵運(けいうん)によって開創され、真言密教の道場としての歴史を誇ります。さらに1131年(天承元年)には、有純(ゆうじゅん)によって中興されたと伝えられています。しかし、天正年間(1573年-1592年)に長宗我部氏の攻撃により本寺は焼失し、多くの宝物が失われました。その後、1863年(文久3年)には再び火災に見舞われ、翌年に有圭(ゆうけい)により再建され、現在の姿に至っています。
本堂に安置されている阿弥陀如来像は、徳島藩の初代藩主であった蜂須賀正勝の正室・大匠院(だいしょういん)と、その家臣であった稲田家代々の霊位を祀るためのものです。このように、徳島藩の歴史とも深く関わる場所として、多くの歴史愛好家や参拝者に親しまれています。
本楽寺の境内には、多くの歴史的建造物や美しい庭園があり、訪れる人々を魅了します。以下では、主な見所を紹介します。
寺の入口に位置する山門は、本楽寺に入る際に最初に目にする象徴的な建造物です。この門を通ることで、参拝者は俗世から離れ、心静かに寺院内を巡ることができます。
本堂は、寺院の中心的な建物であり、阿弥陀如来像が安置されています。この阿弥陀堂は、蜂須賀家や稲田家の霊を祀る重要な場所で、多くの参拝者が訪れます。
護摩堂では、真言宗の伝統的な修行である護摩供養が行われます。この供養は、心身を浄化し、願い事を成就させるためのもので、多くの信者が参加します。
本楽寺の庭園は、「鶴亀ノ庭」および「神泉蓬莱ノ庭」と呼ばれる枯山水庭園が特徴です。この庭園は、吉野川にある鶴石と亀石を象徴的に取り入れており、舟石が蓬莱島へ向かう様子を再現しています。また、阿讃山脈と吉野川の風景を借景として取り入れた雄大な石庭は、訪れる人々を魅了します。
「登竜門」の故事に基づき、鯉が黄河の急流を登って龍となる様子を表した石組です。この龍門瀑(たき)と鯉魚石は、努力や成功の象徴として、多くの人々に勇気を与える場所となっています。
仏教の三尊形式に倣った石組が庭園内に設置されています。これにより、庭全体が仏教的な平和や調和を象徴しています。
庭園内には、これらの石庭や景観を巡る回遊式庭園が整備されています。この庭園は、来訪者がゆっくりと歩きながら自然や庭園の美しさを堪能できるように設計されており、心を癒す場所として人気があります。
本楽寺の境内には、静かに茶を楽しむための茶室も設けられています。ここでは、抹茶を楽しんだり、写経を体験することができ、精神的な静けさを感じることができます。茶室の利用は予約が必要です。
本楽寺の拝観料は、大人300円です。拝観時間は午前9時からです。また、抹茶の提供や写経の体験は、別途料金が必要となります。
本楽寺では、事前予約により懐石料理や松花堂弁当の提供も行っています。懐石料理は5名以上、松花堂弁当は4名以上のグループで予約が可能です。特別な食事を楽しみながら、静かな寺院の雰囲気を味わうことができます。
茶室の貸出も予約制となっており、特別なイベントや茶道の稽古などに利用することができます。静寂な環境での茶会は、参加者にとって忘れられない体験となるでしょう。
本楽寺へは、JR徳島線「小島駅」から徒歩で約10分の距離に位置しています。また、徳島自動車道「美馬インターチェンジ」からは車で約20分ほどです。アクセスしやすい立地のため、観光や参拝に便利です。
本楽寺は、歴史的価値と美しい自然、そして日本庭園の魅力が詰まった場所です。真言宗御室派の寺院として、阿波西国三十三観音霊場や四国八十八景にも選ばれており、多くの観光客や信者にとって重要なスポットとなっています。豊かな自然に囲まれた静かな環境で、歴史や文化、宗教的な体験を深めたい方におすすめの寺院です。ぜひ、美馬市に訪れた際には本楽寺を訪れてみてください。