徳島県美馬市美馬町にある「寺町」は、数多くの寺院が集まる地域で、その静寂な雰囲気や歴史ある建築が訪れる人々を魅了します。この地域は「とくしま88景」にも選ばれており、歴史的・文化的な価値が高い観光スポットです。
平安時代に崇徳上皇に仕えた阿波内侍が、上皇の菩提を弔うために建立した寺院です。当初は都にありましたが、彼女の母の故郷である阿波国の維摩寺(奈良時代建立)に移転し、願勝寺と名を変えました。この寺院は歴代の守護や藩主から厚い庇護を受け、地域を代表する存在として発展しました。
願勝寺には、国登録有形文化財である「八脚門」(明治時代)や、室町時代に造園された「願勝寺庭園」があります。この庭園は徳島県指定の名勝で、滝組の手法が天龍寺と同じ作りになっています。また、県内最古の博物館「美馬郷土博物館」も併設されています。
鎌倉時代に天台宗の真如寺として始まりましたが、東国からやってきた千葉彦太郎常重がこの寺に入寺し、浄土真宗の安楽寺に改宗しました。その後、歴代守護の庇護のもと、四国各地に80以上の末寺を持つほどに繁栄しました。
安楽寺には、国登録有形文化財の丹塗りの「二重門」(江戸時代中期)や、昭和初期に建立された本堂、明治時代の鐘楼、大正時代の書院が現存しています。さらに、1996年には能舞台も設けられ、様々な文化的イベントも行われています。
室町時代に安楽寺第八住職・願証の弟、林証が創建したとされています。この寺院の山門は総欅造りの向唐門で、境内には銀杏の大木がそびえ立ち、秋にはその黄金色の葉が美しく寺院の風景に映えます。毎年11月上旬には、半世紀近い歴史を持つ「菊花展」も開催され、多くの人々が訪れます。
江戸時代初期に安楽寺十代住職・正宗が隠居するために建立された寺院で、安楽寺と同じように格式を持ち、阿波や讃岐の10ヵ寺に末寺を有していました。寺院内には国登録有形文化財である本堂(江戸時代末)、薬医門(江戸時代末)、経蔵(昭和初期)が残され、古い寺院建築と石庭が美しい調和を見せています。
元々は「快楽山蓮華院」という天台宗の寺院でしたが、室町時代に浄土真宗に改宗し、常念寺と名を改めました。さらに、安土桃山時代には安楽寺十代住職・正宗の嫡男、其宗が再興したと伝えられています。境内には山門、本堂、書院、庫裡が並び、特に江戸時代末に建てられた本堂は周囲の木々と調和し、静かな雰囲気が漂います。
奈良時代初期に建立された、徳島県内最古の寺院跡です。この寺院は、奈良の法隆寺と左右が逆配置の法起寺式伽藍を持ち、約100メートル四方の広大な寺域を誇ります。この地方を治めた豪族の氏寺として建てられ、古代の美馬地域の繁栄を今に伝えています。現在も、当時の礎石が塔基壇上に残されており、寺域中央には樹齢700年とされる巨樹の銀杏がそびえ立っています。
「寺町公園」は、菖蒲の名所として知られ、毎年6月初旬には「寺町花しょうぶ祭り」が開催されます。美しい菖蒲の花が咲き誇る公園内は、訪れる人々を自然の美しさで魅了します。
寺町へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、JR徳島線の「貞光駅」から美馬市営バスで「寺町」バス停まで約10分です。また、車でのアクセスも便利で、徳島自動車道「美馬インターチェンジ」からは約5分、美馬市の観光名所「脇町うだつの町並み」からは約15分の距離です。
観光に訪れる際は、寺町公園にある「なんまつの丘駐車場」を利用できます。この駐車場には約30台の車が駐車可能です。
地元の新鮮な野菜や特産品を購入できる「道の駅みまの里」は、寺町からの帰りに立ち寄りたいスポットです。
昭和初期に建てられた「脇町劇場(オデオン座)」は、ノスタルジックな雰囲気が漂う劇場で、寺町からも程近い場所にあります。
1735年(享保20年)に築かれた農家で、国の重要文化財に指定されています。徒歩約10分で訪れることができ、当時の生活様式を感じることができる貴重な建築です。
美しい萩の花で知られる「最明寺」は、自然と歴史が調和した寺院で、訪れる人々に癒しのひと時を提供します。
甘味処として人気の「あんみつ館」では、地元の素材を使ったスイーツを楽しむことができます。
オランダ人技師デ・レイケによって築かれた堤防を記念する「デ・レイケ公園」は、地元の歴史を学びながら散策できる公園です。
歴史的建造物が立ち並ぶ「脇町南町」は、美馬市の歴史を感じられる場所です。古い街並みがそのまま残されており、タイムスリップしたかのような体験ができます。
江戸時代に建てられた伝統的な住宅で、国の重要文化財に指定されています。内部を見学することも可能で、当時の生活様式や建築技術に触れることができます。
徳島県美馬市の「寺町」は、歴史的な寺院や美しい自然に囲まれた魅力的な観光スポットです。訪れるたびに新たな発見があり、心を落ち着かせてくれる場所でもあります。ぜひ、歴史と文化の香り高い寺町を訪れてみてください。