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林下寺

(りんかじ)

林下寺は、徳島県東みよし町にある真言宗御室派の寺院です。山号は宝光山であり、本尊は文殊菩薩として祀られています。また、阿波西国三十三観音霊場の第10番札所として、地元の信仰を集める由緒ある寺院です。

概要

林下寺はその長い歴史と特異な文化的背景で知られています。この寺院は、性の守護神として広く信仰される「お花大権現」を祀っており、特に「お花はん」という愛称で地域の人々に親しまれています。境内には、木彫りや石でできた男性のシンボルがいたるところに配置されており、性の象徴としての信仰を強く表現しています。

宗派と札所

林下寺は、真言宗御室派に属しており、宗教的には深い意味を持つ寺院です。また、阿波西国三十三観音霊場の第10番札所としての役割も果たしており、多くの巡礼者が訪れています。この札所としての重要性は、地域の信仰を集める一因となっています。

歴史

寺院の創建と歴史的背景

林下寺の創建年は不詳ですが、京都にある仁和寺の末寺として創建されたことが知られています。しかし、天正年間(1573年-1592年)に長曾我部元親の兵火により、堂宇などが焼失してしまいました。その後、地元の人々の尽力により再建され、現在も信仰の場として多くの参拝者を迎えています。

お花大権現の由来と信仰

林下寺の最も有名な信仰対象である「お花大権現」は、江戸時代にこの地域で生まれたお花という女性の伝承に基づいています。お花は津山城の森藩家老、原十兵衛に嫁ぎましたが、側室たちの嫉妬により非業の死を遂げました。彼女の死後、城内で怪奇現象が相次ぎ、ついにはお花が十兵衛の夢枕に立ち、性の守護神として祀られるようになったという伝説が残されています。

その後、お花姫を祀る祠が作られ、彼女の出生地である林下寺の境内に移されました。これにより、林下寺は性の御仏として信仰を集める寺院となり、特に「お花はん」としての呼び名で親しまれています。また、この信仰は岡山県津山市の徳守神社にも広がり、そこにはお花を祀る「お花宮」が鎮座しています。

長曾我部元親の影響

林下寺は戦国時代に長曾我部元親による兵火で焼失しましたが、再建後も地域の信仰を集め続けました。長曾我部元親の勢力が四国に及んでいた時代の影響は、寺院の歴史に大きな足跡を残しており、その再建後の繁栄は、地域住民の努力によるものです。

文化財と寺院の特徴

境内の特徴

林下寺の境内には、多数の男性のシンボルを模した木彫りや石造りの像が並んでいます。これらは性の象徴として、またお花大権現への信仰の証として、訪れる人々の目を引きます。これらの像は、性にまつわる悩みや願いを持つ人々の祈りの対象となっており、特に安産や子宝、夫婦円満などの願いを叶えるために参拝に訪れる人々が後を絶ちません。

お花姫と播州の伝承

お花大権現にまつわる伝承では、元禄時代にこの地から播州(現在の兵庫県南部)へ嫁いだお花という姫が、その地で妬みの犠牲となったことが語られています。この伝承に基づいて、林下寺には性にまつわる多くの神秘的な要素が集約され、特に女性たちからの厚い信仰を集めています。

交通アクセス

林下寺は、公共交通機関や車でのアクセスも便利です。最寄り駅であるJR徳島線の「江口駅」から徒歩約10分で到着することができます。また、徳島自動車道「美馬インターチェンジ」から車で約15分の距離にあり、観光客にとっても訪れやすい場所です。

まとめ

徳島県東みよし町にある林下寺は、性の守護神「お花大権現」を祀ることで知られる寺院です。長い歴史の中で、戦火による焼失や再建を経て、現在も多くの参拝者が訪れる信仰の場となっています。特に、性にまつわる信仰を集めており、安産や夫婦円満、子宝を願う人々にとって重要な霊場です。林下寺を訪れることで、地域の歴史や文化、そして日本独特の宗教的信仰に触れる貴重な体験を得ることができるでしょう。

Information

名称
林下寺
(りんかじ)

大歩危・小歩危・祖谷渓

徳島県