願成寺は、徳島県東みよし町にある真言宗御室派の寺院です。紫雲山の山号を持ち、釈迦如来を本尊としています。
この寺は、新四国曼荼羅霊場の第65番札所であり、阿波西国三十三観音霊場の第24番札所でもあります。また、四国阿波八供養菩薩霊場の「金剛舞菩薩」も祀られています。歴史的な背景と文化財の価値から、訪れる者に深い信仰と文化的な感動を与える霊場です。
願成寺は、天平年間(729年~748年)に高僧行基によって創建されたと伝わっています。その後、戦国時代に四国の中央部を支配していた大西覚養一族の信仰を集め、彼らの守り本尊として重要な役割を果たしました。
願成寺の守り本尊である薬師如来像は、1547年(天文16年)に奈良の宿院仏師によって制作されました。この像は徳島県指定の重要文化財として保護されています。薬師如来像は病や災難からの救済を祈願するための仏像であり、歴史的な価値だけでなく、信仰の対象としても大切にされています。
願成寺の薬師如来像は、1993年(平成5年)に徳島県の指定文化財に認定されました。この像は、像高23.5cmの木造仏像であり、室町時代末期(1547年)に制作されたとされています。
薬師如来像は寄木造りで、大粒の螺髪や低い肉髻(にっけい)を持つ人間的な顔立ちが特徴です。
左手に薬壺を持ち、右手は施無畏(せむい)の印を結んでおり、その姿は典型的な薬師如来像の形式に従っています。特に、衣が腹前でU字形に2重にたるんでいる表現は、宿院仏師の典型的な作風を示すものとされています。
仏像の胎内には、「南都宿院仏師定正源次 天文16年丁未6月27日」という墨書があり、これは制作者の名前と制作年を示しています。また、当時の住職や寄進者の名前も記されており、その一人である大西元武は、三好長慶と共に室町時代の末期に戦をしていた武将でした。仏像は彼が宿院仏師に依頼して制作させたか、または既存の像を持ち帰り、願成寺に奉納したものと考えられています。
願成寺は、新四国曼荼羅霊場の第65番札所として知られています。この霊場は、四国四県にまたがる81の寺院と7つの神社で構成され、神仏習合の伝統を持つ特別な巡礼地です。願成寺に訪れる巡礼者たちは、信仰の旅を通じて仏の教えと向き合い、心の安寧を求めています。
願成寺は、阿波西国三十三観音霊場の第24番札所にも数えられています。阿波西国三十三観音霊場は、徳島県を中心に観音菩薩を祀る寺院を巡る霊場で、観音菩薩の慈悲深いご利益を得るために多くの参拝者が訪れます。
願成寺は、四国阿波八供養菩薩霊場における「金剛舞菩薩」を祀る寺院としても知られています。この霊場は、阿波(現在の徳島県)を中心に8つの菩薩を供養するための巡礼地であり、願成寺はその中でも重要な位置を占めています。
願成寺へのアクセスは便利で、四国旅客鉄道(JR四国)の土讃線を利用できます。最寄りの箸蔵駅から車で約5分の距離にあり、周辺には駐車場も完備されているため、観光や参拝に訪れる人々にも利用しやすい環境です。
願成寺は新四国曼荼羅霊場の第65番札所に位置しており、64番札所の蓮華寺、66番札所の地福寺と連なる形で巡礼者が訪れます。巡礼の道中では、他の霊場や地域の名所を訪れることもでき、四国の豊かな自然や文化を体験しながらの巡礼となります。
願成寺の近くには、徳島県の名所が点在しています。例えば、箸蔵駅から車で少し足を延ばせば、美しい景観や文化的なスポットを楽しむことができます。四国八十八カ所霊場を巡る旅の一環として、または歴史や文化に触れる旅として、訪れる価値の高い場所です。
願成寺は、その歴史や文化財、信仰の深さから、訪れる者に強い印象を残す寺院です。四国の霊場巡りの一環として、また徳島県の文化を体験する観光スポットとしても魅力的な場所です。ぜひ、四国の巡礼の旅に足を運んでみてはいかがでしょうか。