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高越山

(こうつさん)

阿波富士と称される名峰

高越山は、徳島県吉野川市に位置する標高1,133mの山で、その美しい円錐形の姿から「阿波富士」とも称されています。また、地元の人々からは親しみを込めて「オコーツァン」とも呼ばれ、四国百名山の一つに数えられる名峰です。この山は、壮大な自然景観と、修験道の歴史が息づく霊場としても知られており、多くの登山者や信仰者に愛されています。

概要 ― 高越山の魅力

高越山は、その地理的な特徴から、山頂に立つと一ノ森(1,879m)や剣山(1,995m)、三嶺(1,898m)などの四国の名峰を一望でき、天候が良ければ遠く瀬戸内海や淡路島までも望むことができます。山の風景は四季折々の表情を見せ、春には新緑や山桜、夏には青々とした山々、秋には紅葉、そして冬には雪景色が広がり、年間を通して多彩な自然の美しさを楽しむことができます。

高越山と信仰 ― 修験道の歴史

高越山は古くから修験道の霊場としても名高く、山頂には役小角(えんのおづぬ)によって7世紀に建立されたと伝わる高越寺があります。高越寺は真言宗大覚寺派に属し、かつては女人禁制の厳しい修行の場として知られていました。現在では女人禁制は解かれていますが、毎年8月18日に行われる「十八山会式」では、紫燈大護摩が開かれると共に、この日だけは伝統に倣い女人禁制が復活します。

山内の名所 ― 万代の池と「のぞき岩」

高越山内には修験者たちの修行場が点在しており、その一つに「万代の池」があります。この池は中の郷と呼ばれる庵の前に広がっており、修行者たちにとって神聖な場所とされています。また、もう一つの名所「のぞき岩」は、険しい崖の上に位置しており、修験者たちが極限状態での精神修行を行うための場所として知られています。これらの場所は、現在も多くの信仰者や観光客が訪れるスポットとなっています。

高越寺 ― 修験道の拠点

高越寺(こうつじ)は、徳島県吉野川市山川町の高越山の山頂近くに位置し、本尊には蔵王権現(高越大権現)を祀っています。また、脇仏として千手観音も祀られ、修験道の拠点として長い歴史を持っています。高越寺は土柱高越県立自然公園内に位置し、美しい自然に囲まれた環境にあります。

高越寺の歴史 ― 阿波修験道の発祥地

高越寺の歴史は非常に古く、役小角によって開創されたと伝えられていますが、実際の歴史的記録には曖昧な部分も多く残されています。しかし、江戸時代の文献「摩尼珠山高越寺私記」には、役小角の開創伝説が記されており、これが当寺の起源とされています。また、鎌倉時代には、阿波国(現在の徳島県)全体に信仰が広がり、高越山を中心とした修験道の信仰圏が形成されていたことが「川田良蔵院文書」によって確認されています。

忌部神社との関係 ― 阿波忌部氏の守護神

高越寺は、阿波国において重要な修験道の拠点であっただけでなく、山川町山崎に位置する忌部神社とも深い関わりを持っています。忌部神社は阿波忌部氏の守護神を祀っており、高越寺はその別当寺としての役割も果たしていました。このため、高越寺では年に2回、忌部神社との会合が行われ、忌部修験道という独自の宗教形態が発展しました。

高越山へのアクセス

車でのアクセス

高越山へのアクセスは、車を利用するのが最も便利です。JR徳島線「阿波山川駅」から車で約50分、または徳島自動車道「脇町インターチェンジ」から車で約70分で山のふもとまで到達できます。山頂までの道は整備されていますが、一部険しい箇所もあるため、登山の際は十分な準備をして訪れることが推奨されます。

登山ルートの注意点

高越山の登山道は、初級者から中級者向けのコースが用意されており、比較的登りやすいですが、季節によっては天候や路面状況に注意が必要です。特に冬季は積雪や凍結が見られることがあり、注意が必要です。また、2014年には大雪により高越寺の住職と従業員が遭難して命を落とす事故も発生しており、山岳救助の重要性も強調されています。

まとめ ― 阿波富士の魅力と歴史

高越山は、その美しい自然景観や修験道の歴史的な価値から、多くの人々に愛されてきました。四国百名山の一つとして、登山者や観光客にも人気があり、特に春や秋のシーズンには多くの人々が訪れます。また、修験道の霊場としても知られ、古くから信仰の対象として崇められてきたこの山は、自然と信仰が融合した神秘的な魅力を持っています。高越山への登山や参拝は、自然と歴史、そして信仰の息づかいを感じる貴重な体験となるでしょう。

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高越山
(こうつさん)

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