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吉野川橋

(よしのがわばし)

吉野川橋は、徳島県にある一級河川「吉野川」に架かる17径間曲弦下路式ワーレントラス橋です。この橋は、歴史的にも重要な土木構造物として知られ、日本百名橋とくしま市民遺産、さらには土木学会選奨土木遺産にも選定されています。その美しいアーチと、徳島のシンボルともいえる構造は、地元の人々や観光客に愛されています。

歴史と概要

吉野川橋は、その前身である木製の古川橋を経て、1928年(昭和3年)に竣工しました。設計は、東京帝国大学で橋梁工学を学び、後に日本各地の橋梁を設計した著名な技術者増田淳氏が担当しました。増田氏の設計によるこの橋は、当時「東洋一の長大橋」として全国から注目を集めました。

開通式は1928年12月18日に行われ、約4万人が参加し、県内各地では阿波踊りが披露されるほどの盛大なイベントとなりました。徳島市の南北を結ぶ交通の要所として、また景観の一部として、多くの人々にとってなくてはならない存在です。

橋の特徴

吉野川橋は、全長1,071メートル、幅員6.1メートルを持つ大規模な橋です。1925年に着工され、1928年に竣工しました。全体は単純曲弦鋼ワーレントラス橋の形式で、徳島県道39号徳島鳴門線が通っています。橋は徳島市応神町古川と徳島市吉野本町を結び、南岸の河川敷は吉野川運動広場として整備されています。

当初は、橋の色は赤褐色でしたが、戦後に現在のコンポーズブルーに塗り替えられました。徳島のシンボル的な存在として、周囲の風景と調和しつつも、独特の美しさを持つ橋となっています。

橋の構造

この橋は、車両の通行に加え、両側に歩道橋が設けられています。歩行者や自転車の通行が安全にできるよう設計されており、対面通行の自動車道と併せて、1日あたり約22,000台の自動車2,000人の歩行者・自転車利用者がこの橋を利用しています。

豊川仲太郎と「古川の渡し」

現在の吉野川橋が架かる前、この地域には木製の「古川橋」がありました。この橋は1886年(明治19年)に、沖島村(現・徳島市川内町)の豊川仲太郎氏によって賃取橋として設置されました。彼の功績を称えるために、橋の北詰には「豊川翁の碑」が建てられています。

さらに、この付近には古くから「古川の渡し」が存在していました。現在では、その歴史を記念する石碑が立てられています。この地域の交通インフラの発展は、吉野川を渡る橋が整備されてきた過程で大きく進展しました。

土木学会選奨土木遺産に認定

吉野川橋は、その歴史的・技術的価値から、平成30年9月土木学会選奨土木遺産に認定されました。土木学会は、歴史的土木構造物の保存に資するため、毎年選定を行っており、吉野川橋もその一つに選ばれました。

この橋が建設された当時、橋の全長1,071メートルは東洋一の長さとされ、多くの人々が見学に訪れたことでも知られています。今日においても、技術の粋を集めて建設されたこの橋は、その美しさと機能性から高く評価されています。

現代における吉野川橋の役割

現在も吉野川橋は、徳島市内と鳴門市を結ぶ重要な交通ルートとして機能しています。約1.4キロメートル下流には、上下6車線の吉野川大橋が架かっていますが、それ以前は吉野川橋が主要な交通手段でした。現在でも、補修を続けながらその役割を果たしており、交通インフラとしての重要性は変わっていません。

吉野川橋の塗装と維持管理

吉野川橋は12年ごとに塗装の塗り替えが行われています。これにより、橋の美観と耐久性が維持されています。橋の高さ制限は4メートルから3.8メートルに変更され、高さ超過車両検出システムも導入されています。これは、規制値を超えた車両の接触事故を防ぐための対策です。

吉野川:四国三郎と称される暴れ川

吉野川は、高知県と徳島県を流れる四国を代表する河川です。全長194キロメートル、流域面積3,750平方キロメートルを誇り、川幅が2,380メートルに達する箇所もあります。この川は、日本三大暴れ川の一つとして数えられ、四国三郎(しこくさぶろう)の異名を持つほどです。

吉野川の流れは、時には急流となり、その力強さから「暴れ川」として恐れられつつも、地域の産業や文化にとって重要な存在でもあります。この川をまたぐ吉野川橋は、四国の交通や生活の要所として、その役割を果たし続けています。

アクセス情報

吉野川橋へのアクセスは、JR徳島駅から車で約15分、または徳島自動車道「徳島インターチェンジ」から車で約15分です。橋の南側には吉野川運動広場が整備されており、橋を渡る際には徳島の自然と歴史を感じながらドライブや散策を楽しむことができます。

まとめ

吉野川橋は、徳島県を代表する歴史的な橋であり、設計者の増田淳氏が手掛けた技術と美しさが融合した構造物です。その重要な交通インフラとしての役割だけでなく、観光スポットとしても価値があります。吉野川の雄大な景色とともに、橋の歴史や文化を感じながら、徳島のシンボルともいえる吉野川橋を訪れてみてはいかがでしょうか。

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名称
吉野川橋
(よしのがわばし)

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