歴史
王子神社の祭神は天津日子根命(アマツヒコネ)で、天照大神の第三皇子とされる神です。古くから統治の根子神(地元の守護神)として崇められ、社殿裏にはその御陵があると伝えられています。しかし、徳島県神社誌によれば、この神社の創建は戦国時代にさかのぼり、当時の夷山城主庄野和泉守が伊勢の多度神社から勧請したとされています。その後、地域の鎮守神として多くの人々から崇敬を集め、特に蜂須賀藩の家老長谷川奉行家では代々崇敬されてきたと伝えられています。
神社名の由来
神社名の「王子」は、天照大神の皇子に由来する尊称であるとされ、これは神社の特別な存在感を示しています。また、地元では「猫神さん」として親しまれており、これは後述の「阿波の猫騒動」に関連する伝説によるものです。
阿波の猫騒動
「阿波の猫騒動」とは、約300年前に那賀郡加茂村(現在の阿南市)で起きた悲劇に基づく伝説です。庄屋の娘お松が無実の罪で捕えられ、処刑される際に、彼女は愛猫お玉に、自分の死後に報復するよう命じました。お玉はお松の死後、彼女に罪をかぶせた人々に祟りを起こし、これを鎮めるため、長谷川奉行家はお松とお玉の霊を祀ることにしました。この出来事が、王子神社が「願いを叶える猫神さん」として広まり、多くの人々が合格祈願や開運祈願、商売繁盛のために参拝するようになったと言われています。
猫神さんのご利益
現在でも王子神社は「猫神さん」として、さまざまなご利益を求める参拝者で賑わいます。特に合格祈願や開運、良縁、商売繁盛の神様として広く知られ、多くの人々が願い事をかなえるために訪れています。
祭神と関連神社
王子神社では、以下の神々が祀られています:
- 天津日子根命 - 天照大神の第三皇子
- お松大明神 - 無実の罪で処刑された庄屋の娘
- お玉大明神 - お松の愛猫で、彼女の死後に報復したとされる
徳島市内の王子を祀る神社
徳島市内には、他にも天照大神の皇子を祀る神社がいくつか存在します。以下はその代表的な神社です:
- 一王子神社 - 天照大神の第一皇子、天忍穂耳命を祀る神社
- 御縣神社 - 第二皇子、天之菩卑能命を祀る神社(小松島市にある豊国神社の境内社)
- 四王子神社 - 第四皇子、活津日子根命を祀る神社(八万町長谷に鎮座)
- 熊野神社 - 第五皇子、熊野久須毘命を祀る神社(丈六町に鎮座)
アクセス情報
バスでのアクセス
王子神社へのアクセスは、公共交通機関を利用する方法が便利です。JR徳島駅前からは、徳島市営バス3番乗り場より「文化の森」行きやバイパス経由の「市原」行きに乗り、「文化の森」で下車することができます。また、JR牟岐線文化の森駅からも徒歩35分ほどで到着します。
また、徳島バス4番乗り場から佐那河内線「仁井田西」行きや「神山高校前(大木経由)」行きに乗り「園瀬橋」で下車し、徒歩10分ほどで神社に到着します。
車でのアクセス
車で訪れる場合、徳島県庁から国道55号を南に進み、「文化の森」の駐車場を利用することができます。約15分ほどで到着します。
その他の情報
王子神社は文化の森総合公園内に位置しており、公園内には徳島県立博物館や徳島県立図書館など、観光や学習に役立つ施設も充実しています。神社参拝と合わせて、公園内の他の施設も楽しむことができます。
まとめ
王子神社は、徳島市内にある歴史的かつ神秘的な神社であり、地域の信仰と文化に深く根付いています。「猫神さん」の伝説や「阿波の猫騒動」のエピソードが特に注目され、多くの参拝者が訪れる神社です。また、文化の森総合公園内にあるため、自然と歴史が融合した美しい環境の中で、心静かに参拝することができます。ぜひ徳島を訪れた際には、王子神社に足を運び、その歴史と神秘に触れてみてください。