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大坂峠

(おおさか とうげ)

大坂峠は、徳島県鳴門市北灘町碁浦と香川県東かがわ市坂元の県境に位置する峠であり、標高は270mに達します。この峠は「大坂越」とも呼ばれることがあり、香川県のみどり百選にも選定されている名所です。大坂峠は、瀬戸内海国立公園の一部であり、美しい自然景観を楽しむことができます。

大坂峠の地理的特徴

大坂峠は、徳島県道・香川県道1号線(徳島引田線)に沿った形で位置しており、古くから四国の讃岐山脈を越える重要な交通路の一つとされてきました。峠の東側では、鳴門市北灘町碁浦を経て、香川県東かがわ市に続いています。大坂峠は、讃岐山脈を越える主要な道の一つであり、東には大坂峠、西には猪ノ鼻峠、そして中央には清水越といった峠道が存在しています。

瀬戸内海国立公園と大坂峠園地

峠は、瀬戸内海国立公園の一部である「大坂峠園地」として指定されています。この公園は、その美しい風景と豊かな自然で知られており、徳島県板野町側には「あせび公園」があります。園内には、大坂峠展望台が設けられており、ここからは瀬戸内海の絶景を一望することができるスポットとして人気です。

2つの峠

大坂峠には2つの異なるエリアがあり、徳島県板野町と鳴門市の境界に位置する「大坂越」、および徳島県鳴門市と香川県東かがわ市の県境をなす「大坂峠」に分かれています。この2つの峠を総称して「大坂峠」または「大坂越」と呼ばれることがあります。

歴史的背景

律令時代と官道

大坂峠の歴史は古く、律令時代からすでに「南海道」の官道として利用されていたと考えられています。律令制の下で設けられた官道は、地方から中央政府に物資や情報を伝えるための重要な交通網であり、徳島県板野町大寺にある郡頭を起点として、讃岐に続く道として大坂越が重要視されてきました。

源義経の峠越え

1186年(文治2年)2月、源義経が阿波の国に上陸し、その後、大坂峠を越えたという伝承が残っています。「平家物語」にも記述されているように、義経一行は阿波の国を経て、深夜にこの峠を越えたとされています。源平盛衰記によれば、義経は峠を越える前に、現在の板野町大寺にある金泉寺に立ち寄り、そこで腹ごしらえをして峠越えに挑んだと伝えられています。

徳島藩政時代の重要な関所

1585年(天正13年)、豊臣秀吉の命を受けた豊臣秀長の軍勢がこの峠を越え、一宮城(現在の徳島市一宮町)を攻略したことが記録されています。また、徳島藩の支配下において、この峠は徳島藩の重要な関所として機能していました。大坂口御番所という番所が1644年(正保元年)から1872年(明治5年)まで設けられ、峠を通過する物資や人々の監視が行われていました。

四国八十八箇所巡礼と大坂峠

四国八十八箇所巡礼において、参拝者が88番札所である大窪寺から1番札所の霊山寺へ向かう際には、この大坂峠を越えるルートが利用されることがありました。この巡礼路の利用もまた、峠の重要性を高める要因の一つでした。

明治時代以降の大坂峠

明治時代に入ると、大坂峠は大規模な改修が行われ、1874年(明治7年)から1875年(明治8年)にかけて、新たな道が整備されました。この旧道は現在、ハイキングコースとして親しまれており、峠の展望台からは美しい眺望を楽しむことができます。

大正時代の道路整備

1916年(大正5年)、自動車の通行が可能な新道が完成し、1920年(大正9年)にはこの道が国道22号に指定されました。さらに、1935年(昭和10年)には、関所跡を経由する鉄道も開通し、かつての難所であった峠道の通行が大幅に改善されました。

現代の大坂峠と交通

現代においても、大坂峠は重要な交通路であり続けています。1964年(昭和39年)には、鳴門市北灘町を経由する国道11号が整備され、これにより自動車交通の便がさらに向上しました。さらに、峠の西側には高松自動車道の大坂トンネルが通過しており、これにより交通の流れがさらに円滑になっています。

大坂トンネルの4車線化

2019年2月には、高松自動車道の大坂トンネルが4車線化され、これにより渋滞の名所とされていた峠の渋滞も解消されました。この整備により、さらにスムーズな交通が実現され、峠周辺の利便性が向上しています。

大坂峠の観光スポット

大坂峠展望台

大坂峠の展望台は、絶好の観光スポットとして知られており、瀬戸内海の美しい景色を楽しむことができます。特に晴れた日には、遠くまで見渡せる壮大な景色が広がり、観光客やハイキングを楽しむ人々にとって人気の場所です。

あせび公園

徳島県板野町側に位置する「あせび公園」もまた、自然豊かな公園として多くの人々に親しまれています。園内には遊歩道が整備されており、散策やピクニックを楽しむことができます。

まとめ

大坂峠は、その豊かな自然と歴史的な背景から、徳島県と香川県の境界をなす重要な峠道です。律令時代から南海道の官道筋として利用され、源義経や豊臣秀長といった歴史的な人物たちがこの峠を越えたという伝承が残っています。現代においても、観光スポットとしても交通の要所としても重要な役割を果たしており、多くの人々に愛され続けています。峠の展望台からは、瀬戸内海の美しい景色を楽しむことができ、ハイキングやドライブの目的地としてもおすすめです。

Information

名称
大坂峠
(おおさか とうげ)

鳴門・徳島市周辺

徳島県